【動画】9月に能登半島を襲った豪雨で、広範囲に浸水した石川県輪島市町野町の中心部の住民たちが記録した映像

 1月の地震に続き、9月には豪雨に襲われた能登半島。激しい揺れで多くの住宅が損壊した石川県輪島市町野町の中心部は広範囲に浸水し、水深は約2メートルに達して、急な増水で命の危険にさらされた住民もいた。その時、何が起きていたのか。住民の証言と動画で検証した。(田渕紫織、御船紗子)

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町中心部の交差点には、豪雨から9日経った後も、大量の流木が残されていた=2024年9月30日、石川県輪島市町野町、田渕紫織撮影

9:40 道路の水位は30センチ、プカプカ浮いた畳

 9月21日午前9時半ごろ。輪島市町野町の中心部にある自宅で堀井哲雄さん(69)は、激しく降り続く雨が気になり窓の外を見た。

 このころ、能登半島北部には線状降水帯がかかり、気象庁によると、輪島市では午前9時までの1時間に98・5ミリの降水量を観測。さらに雨脚が強まっていた。

 自宅前の交差点では、道路が川のようになり、茶色い水が流れている。中心部を東西に流れる鈴屋川は道路の向こうで、「なんでこっちに」と目を疑った。

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濁流が自宅に流れ込んだ状況を証言する堀井哲雄さん=2024年10月2日、石川県輪島市町野町、田渕紫織撮影

 午前9時40分ごろ、道路上の水位は30センチほどに。家の中では、トイレや風呂場の排水口から水が逆流し始め、足元の畳がプカプカと浮いた。外壁には、流れてきた長さ十数メートルの木が突き刺さった。

 水流はどんどん激しくなり、流れてきた木と仮設トイレがぶつかり、「ガーン」「ゴーン」と音を立てた。鈴屋川には大量の流木やがれきが折り重なって、「水面が見えないほど」だった。

9:50 スーパーが浸水 店内には流木も

 交差点から橋を南に渡ったところにある「スーパーもとや」では午前9時45分ごろ、店のドアから水が浸入。前社長の本谷一郎さん(76)は、商品がぬれないように棚の上にあげた。

 水を防ごうとドアを押さえたが、勢いが強くて止められない。午前10時すぎには直径約1メートルの流木がドアを破って突っ込んできた。

 みるみる水位が上がり、顔ま…

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